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栗東よしおか小児科
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はじめに:
夜尿症、いわゆるおねしょですね。赤ちゃんの頃は誰でもおねしょするわけですが、当然ながら夜寝ている間は排尿しなくなったり、自分で覚醒してトイレに行けるようになります。それがなかなか進まない子のことですね。一応定義では5歳以降で月1回以上が3ヵ月以上続くものとされてますが、5歳で15%、7歳でも10%もいる(膀胱や尿道などの尿路の問題が無い夜尿に限って)らしいです。そもそも病気とまで言っていいのかという気もしますが、本人の自尊感情や家族の負担などを考えると小学生になっても続くときは積極的に治療開始しましょうということになっています。
診断と治療:
上記の定義に当てはまれば診断ですけど、その原因が夜間に尿が作られ過ぎているためか、膀胱が尿を多く溜められないためかなど、を尿検査や昼間尿失禁の有無、便秘の有無などから検討して、治療方針を決定します。しかし、最初は通常生活療法(寝る前の水分制限など)から開始しますし、便秘がひどければその治療を優先することもあります、そう便秘が夜尿の原因になっていることも少なくありません。それでも改善されないときは薬物治療に入ります。本当はアラーム療法という専用器具でオムツ内にセンサーを付けて夜尿があるとアラームが鳴って本人を起こすことを繰り返して膀胱機能を改善させて治すというのがあって、この治療がガイドライン的には初めの内服と同列で第1選択にあります。薬を使わずに治せるということで、正直個人的にはアラーム療法をもっと勧めたいんですが、この器具が買うと2万円以上もするのがネックで現実的には薬から試すことが多いですね。1剤目の薬が効かなくて増量しても難しければ、2剤目やアラーム療法を追加することもあります。すぐに良くなる子いれば、なかなか時間がかかる子もいますが、諦めなければほとんどが治癒します。
治療に関する個人的意見:
夜尿症は心理的要因や本人の治療意欲などが影響することが多い疾患でもあります。水分制限を守れなかったり、怠薬傾向があると当然治りませんし、発達障害や知的障害があると治療が難しくなります。とりあえず、薬飲ませとけば勝手に治るといったものでもありません。それもあって、私は薬物治療は小学生になってからで良いと思っています。小学生になるまでに夜尿を治そうとして投薬可能な6歳になってすぐに薬を始めたいと言われる保護者さんがいますが、自然に良くなる可能性もあるし、薬なしで治せるものなら治したいし、小学生になるまでにという期限を設けることが就学前の子に良い影響になるとは思えません(親が勝手に決めた期限を目標に頑張るなんてことを子どもに期待しない方がいいです)。ちょっと矛盾してると思われるかもですが、小学校入る前後くらいはおおらかに、小学校入学したら少し積極的に治療をお勧めしています。
治療ガイドラインには抗うつ薬の使用も入っています。しかも、今はあまり使われなくなったような副作用が出やすい古いタイプの薬です。私も中高生以上のうつ病の疑いの強い子に抗うつ薬を出すことはありますけど、この薬は使用経験がありません。そりゃ効くのかもしれないけど、うつ病でもない、しかも子どもに抗うつ薬なんて。いまだにガイドラインに入ってるのが不思議です。
最後に:
夜尿症の治療の一つの目標は宿泊行事のある小学4~5年生までなので、小1から焦らずに根気よく治療していくのが良いかと思います。そのためにも小学生になったら早めに検討しましょう。
(2025/4/3)